相続が開始すると、遺言書がない場合など、遺産分割協議を行い相続人の間で遺産を分けることになりますが、この協議に参加したくない、つまり関わりたくないという人が一定数存在します。
ここでは、そのような人のために相続放棄申述の手続きの流れについて説明します。
①事前相談
相続放棄申述をする場合、必要書類を準備し、管轄裁判所がどこなのかを確認する必要があります。
この場合、最寄りの家庭裁判所に出向いて手続案内を受けるのが一般的ですが、出向くことが困難な場合も考えられます。そのような時は、裁判所のホームページから書式をダウンロードすることが可能なので、ご自分で手続きを行うことも可能です。
ご自分で行うことが困難な場合、手続きの全部を依頼する場合は弁護士に、申述書提出までであれば司法書士に依頼することも考えられます。
行政書士は申述書の作成はできませんが、あなたに代わって戸籍謄本の収集等、作成支援を行うことは可能なので、先ずはご相談ください。
②相続放棄申述書の作成
相続放棄申述の手続
- 申述権者(相続放棄が出来る人):相続人
- 申述期間(申述書提出期限):相続の開始を知った日から3か月以内
※相続の開始を知った日とは、被相続人の死亡日に限定されません。
- 管轄(申述書の提出先):相続開始地の家庭裁判所(被相続人の最後の住所地(住民票がおいてあった所)を管轄する家庭裁判所
- 申述費用 手数料:収入印紙800円、通信用郵便切手:裁判所により異なる。
※長崎家裁の場合:84円切手5枚、10円切手5枚
5.添付書類
相続の順位により必要な戸籍謄本等が違ってくる。
相続放棄申述書を記載するには、少なくとも申述人本人の戸籍謄本、被相続人の戸籍謄本及び住民票除票が必要となる(手続相談時に必要な戸籍謄本について確認してください。)。
6.その他
相続放棄をするきっかけとなった書類があれば手続相談時に持参してください。
③相続放棄申述書提出後の流れ
具体的な流れは裁判所により異なりますが、一般的には次のとおりです。
1 管轄裁判所に相続放棄申述書を提出
※この時点では、単に書面を受け付けただけであり、受理されたわけではありませんのでご注意ください。
※この受付日が「相続の開始を知った日から3か月以内」であれば提出期限については問題ありません。
2 裁判所より「照会書」の送付(事案により送付を省略することがあります。)
3 回答書の提出(回答期限がありますのでご注意ください。)
4 受理審判(回答書の内容により再照会がある可能性があります。)
※事案により、最悪の場合、相続放棄申述が却下されることもあります。
5 裁判所より「受理通知書」送付
※この「受理通知書」が届いたら相続放棄の手続きが終わったことになります。
※別途、必要があれば「受理証明書」の交付申請を行い、債権者や他の相続人に交付することが必要です。
④相続放棄申述受理証明書の交付
通常、裁判所からは相続放棄申述受理通知書は無料で送付されますが、相続放棄申述受理証明書は有料(1通につき収入印紙150円分の収入印紙が手数料となる。)であり、申請しないと送付されません。
申述書提出時に同時申請も可能ですし、受理通知後に申請しても構いません。
詳細は提出裁判所で確認してください。
行政書士は相続放棄申述書の作成支援を行うことできます。
申述書の提出代行は、司法書士の独占業務であり、行政書士は提出代行を行うことはできませんが、戸籍謄本等の収集等、支援業務を行うことは可能です。
まずはお気軽にご連絡ください。